おかえりなさいの流れ星

 

その日の魔理沙の日記はこのように記してある。

――今日、珍しいことがあった。

   流れ星に”おかえりなさい”という。

  
-----朝
紅魔館の大きな図書館、高い上裏までの本棚に並べられている。
大きな上製本を抱えた知識と日陰の少女のパチュリー・ノーレッジに普通の魔法使いの霧雨魔理沙が寄り添うようにして本を読んでいる。
空を仰ぎ、本を閉じるパチュ

「魔理沙、今夜霊夢の神社へ行くから」

その顔はきりっとして、何か勇ましい。

「・・・お、おお。・・って、何しに来るんだ?」

「そうね、時空を見に・・という感じ?」
「・・・じ・・くう?」
あまり納得のいかない答えに頭をひねらすが、ここで8時間ぐらい講釈されても困るので何も言わない。

パチュはそう断言したが満足げに、紅茶を飲み干す


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博麗神社の昼下がり
縁側に楽園の素敵な巫女の博麗 霊夢と、小さな百鬼夜行、伊吹 萃香。
大量の梅にまみれている。

「ふうーん、別にいいわよ」

そう言って、霊夢が顔をあげずに生返事。
霊夢と萃香は今年幽々子の庭で採れた梅を沢山、妖夢が持ってきたのを
梅酒にする為。つまようじと布団針で梅の生り口のホシを、丁寧にとり除く作業をしていたのだ。

「あの子来ると律儀になんか持ってくるしね。パチュなら歓迎だわ」
「あそこはいい、葡萄の酒あるんだよな、けけ」
「葡萄のお酒はいいわね、葡萄酒は足で踏むっていう手順がないといいんだけどねえ」

――この酔狂め。

「んなこと言ったって、なんか持ってくるのは咲夜だぜ」
「何言っているの、咲夜があそこの吸血鬼の用事で来るときは手ぶらなのよ」

「ま、・・・とりあえず、寝るか」
「なんで寝るのよ、人んちで」
「そりゃ、夜を楽しむためにさ。あいにく古今処魔法書の解釈をまとめてて・・ふああ。。。ねてないんだよ、おやすみ」
「もー」

「んじゃ。あちしもいっしょにねよーっと」

「萃は寝ないで、まだ、梅のヘソとってないでしょ!」

「やだよーん、ごろごろなりー」

「いいわよ、今夜せっかくだから3年前の梅酒開けようと思ったのに」

「それなら余計寝とくと吉じゃーん、今夜は酒盛りだね、うひゃひゃ」
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もくもくと梅野下処理をする霊夢。
「こんちゃ、文々。新聞でえっす★」
射命丸 文が断わりもなしに写真をあいさつ代わりにとる。
「ああ、まためんどいのが来た…」

「めんどいとは如何な言葉じゃないですか、今年の梅酒の取材ですよぉ、ふむふむ
やや小ぶりですね、でも美はきれい・・・っと去年は鴉にやられちゃいましたっけ」

「なにいってんの、あんたの差し金じゃないの・・」

「そーんなことないですよ、こーやって取材に応じてくだされば、ちゃーあーんと記事にはしますから、神社に来る人は増えますしお賽銭アップでいいことずくめじゃないですか」
「はあ・・・」
どうせカラスの請け合いだ。
「あれ?今日は一人ですか?魔法使いと酒呑童子は?」
「奥の居間で寝ているわ」
「昼間っから豪気ですねえ・・・夜寝れなくなっちゃうじゃないですか」
「鳥目は夜は動けないものね・・なんか、パチュリーが来て、夜集まることに…あ」
「そんときはミスティアさんに・・・え?夜集まる?」
あ、しまったという顔の霊夢
してやったり顔の文。

「にやーり★」
「ああ、もう、めんどくさ・・・・」
「ばちこーん★っと、はい!いただきました★こりゃ、号外ですね!」

「号外にしなくてもいいわよ…っていうかそんなことを新聞にしないで」
「文屋は一秒がタイムイズマネー!じゃ★先を急ぐんで!」

「・・・ああ、めんどくさ」

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「お師匠さまー」
「ん?」
パタパタと廊下を走る音。
「鴉が新聞持ってきたのでもってまいりました」
「ありがとう.てゐ、あら、これは飲み会のお知らせ・・?」
「新聞って言ってたけど・・」
場所は博霊神社・・・。
「・・そうか・・そうねえ。あそこが一番視れるものね」
「なにが?」
「忘れないうちに香霖堂に”予約”入れておいて貰おうかしらね。てゐ、悪いけど伝書兎を一羽用意してもらえる?」
「香霖堂ならあたしがちょいーっといってくるよ」
「あら、頼もしい。じゃあ、カルメ焼き代のお駄賃も渡すわ」

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流れるようにそれは流れて

   はらはらと

      砕け散った。


「おかえり・・・なさい」

そういって、パチュリーは涙を落した。

智恵の為に砕けた星だと聞いた。

 

 

 

 

 

 

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「”はやぶさ”の欠片ですか・・・」

「ええ、こちらにあるんじゃないかとお嬢様が」

「うーん、困りましたね。有ることはあるのですが先約があるので」

「え?」

ご予約:八意 永琳様

「ああ、先を越されましたね…」
「すみません」